Vol.2 倉品翔 from GOOD BYE APRIL

第二回目の気になる人ということでGOOD BYE APRIL Vocal 倉品翔君に来ていただきました。6ヶ月配信リリースのこと、最近のバンドのことなどを聞いてきました。インタビュー形式にしたかったのですが焼き鳥を食べながらお酒も飲んだりしている内にお互いのことを赤裸々に話す楽しい対談になってしまいました。


6ヶ月配信の作品を一つ一つ聞かせてもらったのだけれど、どれも本当に素晴らしくて言葉への向き合い方が変わったのかな?と思っていたのだけれどその辺りはどうかな?これまでの作品以上にBassの延ちゃんに対する信頼度が上がってきているように感じるんだ。


 (倉品)任せられるところは任せている感じ。6ヶ月配信のものに関しては基本延本が書いている。10月の配信の曲「ARMS」は俺が書いている。でもそれはたまたまなんだけれど、まさに工藤くんが言っていた通りで今までは延本と張り合わなきゃなという気持ちがあった。


戦っている気持ちがあった?

「張り合いたいなぁ」という気持ちがあった自分でいたけど、今年はもう全然そういう気持ちはない。なんなら全部書いてもらってもいいですっていう気持ち(笑)


人が書いた歌詞を歌うっていうのは心境的にどんな感じなの?

 どういう気持ちなんだろう…。(少し考えて)…歌うっていうことに関してはあんまり変わらないかも。そもそもそんなに自分で書こうが自分の心情を音楽にしたいっていう気持ちがまずないから。


なるほど。

 吐き出したいことを歌にしたいっていう気持ちがあんまりないんですよ。去年ちょっとそれにトライしたけど、自分の限界を知った。前回「ランドマーク」っていう曲が入ってて、あと「長い夜」とか。その辺りまで自分の心情が深くリンクした歌詞をずっと歌うべきだと思ってきていて、それがずっとやれてないという気持ちがあった。延本に「自分の心とリンクするような歌詞を書いてくれ」と求めてた時もあった。人間臭い歌詞をかいてくれと。自分(倉品)の心とリンクしなくてもいいから、延本なりに自分の哲学とかをもっと反映して欲しいなとか一時思ってた。


でも今それ果たされてない?

 かもしれない。(笑)


僕も過去の曲を好きって言ってくれる人達のことを考えた時にその一つの答えは自分の哲学を歌った時なんだよね。

 そうだね、工藤くんの場合はそうかもね。


昔はこういうことを歌うしか他にないじゃんって思ってて…拙い言葉でもいいから。僕たちは合間にリセットや今もまた変化を選んでいるけれど、時間をかけながらもGOOD BYE APRILは地続きに来ているからその意味は大きいと思う。どんどん透明になって普遍性を獲得してきている気がする。前はエグみや尖った部分を意図して出して…という感じだったけれど、今となっては体に馴染んで自然に出せるようになってきている気がする。普通が一番エグいってことに気付いた様な。聞いていて無理がないのだけどアレンジは深いところまで潜れている。信頼しているからこそ無理がないのかもね?「だっていいもんできるし!」っていう感じが凄くする。

 去年俺がまだ過信というか…何だろうな。もっとバンドを引っ張らなきゃっていうのがあって。「ワンマン」(先頭に立って)を頑張るということを今まで一度もやってきていないから。そこに可能性もあるのでは?と思ってやってみたら俺は「これじゃなかったです。」ってなって(笑)今年はもういろんなものを手放して、俺が頑張って歌詞を書く必要もないし全力で延本の歌詞を信頼して書いてもらう方がよかった。それが改めてわかった。メンバーにも伝わっていると思うしそれぞれが羽を伸ばしている状態かな。工藤くんの歌詞の場合、哲学を出すことがいいと思う。僕の場合は違った。歌い方、キャラクター、曲によるものなのかもしれない。去年はそのことで結構揺れてた。何か俺らが聞いてきたロックバンドってそういう美学で成り立っている人達だったから。歌っている人が書いている歌詞、哲学に心打たれるっていうか。


お言葉をいただきました!って感じだよね。笑

 そうそう(笑)去年はまだその可能性を探っていた。よくよく考えてみたら80’sの音楽は作家が歌詞を書いているもの多い。そのことは知っていたのだけれど、実際に自分がそこに「入っていこう!」と割り切れたのは今年に入ってからかな。「俺はそっちだ!」っていうか。自分が(自分の歌詞で)心を込めて歌ってもそれが真実に近づいて行かない、響かないという。


倉品くんが哲学を持っていない訳ではなくて表現の仕方として得意なのが延ちゃんだったってことだと思うよ。倉品くんはメロディ、延ちゃんは歌詞。最終的に表現として歌として達成されればいいと思う。意思をもっていない人間が歌を歌っているとは思わないから。表現者としての適材適所が再配置されたということだと思う。憂う必要もないことよ。

 俺がそういう歌詞を書けていれば違うんだけれど…まず自分にスキルがないというのと、自分の歌い方だったら「そうでなくて良い」とよりそう思ったかな。でもいつも仮の歌詞を書いてバンドに持っていくんだ。曲が先でその上で言葉は考えてくる。一通りちゃんと。


すごい勇気だね。(笑)だってそれがボツになる可能性があるってことでしょ?言葉を必要とするのは音感として確かめているってことでしょ?このメロディにはこんな音の言葉がハマればいいなって。

 そうそう。それを自分なりにちゃんと考えて持っていくんだけど…。


凄いね…。

 やっぱりそれがボツると悔しかった。


でしょ?そう思うよ。

 でも今年はもう思わない。ボツって当然だと思ってるし。それよりもっと自分を超える歌詞が延本から出てくるってわかってるから。


一応こういう内容が歌いたいっていうテーマ出しはするの?

 うん、お題を投げる。でもそれを全然関係なく延本は書いてくることもあるし、それも年月やってきてわかったの。俺が提示していることが大したことないって。僕の場合は曲と密接に絡みすぎちゃう。それで何も生まれていないという感じ。


そういうことか…。でもそれは僕もそうだよ。「センチメンタル」とか比較的そうだもん。ぴったしすぎるかなぁって。

 それが何ていうか塩味でいいって思う時もあるかもしれないけどね。バランスによってはだけど。俺一人では曲と歌詞で化学変化を起こせないから。そういう時に延本の歌詞があった方が良くなると経験でわかってきたから(自分が書くことに)未練はないかな。


なるほどね。僕もメロディを書くと「こういう言葉が欲しい!」って思うから常々準備をしたいと思ってるのだけれど、僕の場合は詞先(詩を先に曲を作ること。)の方がハマった。大人になればなるほど世界ってこうだよねって、見方が定まってきて「このままでもある程度いけちゃうんだ。必死にならなくても大丈夫なんだ。」とか気づいちゃう。そして気づけば気づくほど悲しくなってそのループになる。でも書き続けるしかないからね。延ちゃんみたいな人が僕にもいれば題材を投げて書いて下さいって言っていると思う。だから延ちゃんと倉品くんの関係性は理想的だね。作家が二人いるって感じだから、プロジェクトとしてみても高度な部類に入ってきていると思うよ。

 僕の歌は中庸感がいいのかもしれない。それだけでいいとは思わないんだけど、別に俺この歌い方で例えば性的なものを歌っても響かないだろうなとか結構思う。歌うべきことはもっと他にあるだろうと思う。今シティポップがずっと世間でも散り沙汰されてきて、自分達は「ニューミュージック」のアプローチからシティポップをやるっていうのが自分達にやれることなのかなって思う。


この先はどういう風な展望なの?

 アルバム11/25に出るから…もう来年の展望みたいなことになっちゃうのだけど、今年は凄くバンドとしての大枠の路線を見つけた気がするからそれを大きくしていく…っていう方向性。大枠としてはこの路線かな。ニューウェイブみたいな曲もやりたいと思ってる。シティポップの中で新しいアプローチをしていきたい。まだ漠然とはしているけれど1曲やってみたい。自分のキャラクターって自分で導くしかないもんね。


そうだね。

 この6ヶ月配信の曲に関しては真っ当に作れたとおもう。「アイス」って曲は特に歌詞を読んで作った。一番のめり込んだ曲かな。ただそういう曲も大事だけどバンドメンバーの皆に意見を聞いて良いと言ったものを採用した方が良い。「Plastic 」はレコーディング一週間前になって作って意見を聞いて採用した。「人魚の鱗」も「恋が始まる」もそうだね、つのけんやたかしが良いって言ったもの。そのセレクトや意見は自分の想像を超えていった。「任せる」ということは「育てる」ということを学んだよ。


それは素晴らしいね。

 いまはストレスないんだ。今回6ヶ月配信の流れでアルバムにしたけれどよく作れたなって感じ。次作れないわって思ってるもん。


相当なクオリティだから誇っていいいとおもう。

 今までは自分の手の届くところでしっかり作りたいみたいな気持ちが強くて、出来上がっても次も作れるって思ったけれど、いろんなところを手放した分こんなもの出来ちゃったら「次作れるのかな?」という気持ちに初めてなった。(笑)来年はもう流れに乗っていこうというぐらい。それでいいんだと思うんだけどね。俺はむしろ。 


今年またさらにバンドとしての顔が見えたよね。ここまで美しい曲を書ける人達ってそうそういないし非常に良いと思うよ。これからどうなっていくのか楽しみ。手伝えることがあったらいつでも呼んでね。(笑)

 ありがとう!然るべきタイミングがきたら是非!


今日はありがとうございました。

 ありがとうございました!

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